ぺんてる株式会社機設事業部
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ぺんてるが生産設備を作るわけ

サインペンの誕生と自社設備

1946年、ぺんてる株式会社はえのぐやくれよん等の画材を製造販売する会社としてスタートしました。機械の「機」に設備の「設」の2文字を名前に持つ機設事業部は、文字通り生産設備を扱う部署として、ぺんてるの創立時期に開設されました。

発売当時のぺんてるサインペン
発売当時のぺんてるサインペン

1963年に発売し、ぺんてるの成長のきっかけになったペンがあります。これが、皆様に愛され続け、未だ根強い支持をいただいている「ぺんてるサインペン」です。8年の歳月をかけた研究の末、完成した携帯用水性サインペンは、当初日本では全く売れませんでした。しかし、アメリカの見本市で配ったペンの内1本が当時のアメリカ大統領のジョンソン大統領の目にとまり、それが雑誌で伝えられると大人気になり注文が殺到するようになりました。

しかし、当時のサインペンは手作りだったために注文に応じきれませんでした。そこで、サインペンの生産ラインを自動化することになりました。当時の機設事業部には自社で生産ラインを自動化する技術はありませんでしたので、外部に委託して生産ラインを作ることにしました。 ところが、生産ラインの自動化を行い、「サインペン」は成功を納めましたが、生産ラインの外部委託により流出した情報により大量の類似品が世界中に出回るという皮肉な結果を生み出してしまいました。この一件により、ぺんてるは自社で生産ラインを自動化することの重要性を強く認識することとなりました。ぺんてるが自社で生産ラインを構築することの重要性を強く認識したのは、この時だったのです。

筆記具は他の工業製品に比べ、部品点数も少なく構造も比較的シンプルです。ですから、すでに世の中にある製品と全く同じ物を作ることは比較的容易です。ぺんてるはこのような模倣製品が進出してくる中、生き残っていくためには製品の品質を高めていくことが重要と考えました。自らの手で品質を築き、生産性を高めてゆくために「自社製品は自社製設備で」がぺんてるのポリシーとなってきた訳です。生産設備や金型を社内で製作すれば、新製品の情報も社外へ漏れることはありません。また、最高の品質を実現する為に、とことんまでこだわった生産ライン造りも可能なのです。さらに新製品の開発と連動して、製造ラインの設計を進められるため、より早いタイミングで新製品を市場に送り出せるようになるという大きなメリットもあります。

その後もぺんてるでは数多くの新製品を世の中に送り出して来ました。格段に折れにくい「ハイポリマー芯」、世界初の「ノック式のシャープペンシル」、水性ボールペン「ボールぺんてる」、セラミックスを極細ペン先に使用した「セラミクロン」、樹脂製万年筆「プラマン」等など…。機設事業部ではこれら新製品の設備を愚直に作り続けてきたのです。結果として機設事業部は多くの技術を獲得し、特長的な機械を開発するまでに至りました。例えば、製造した全てのペンを紙に筆記させ、筆記線を画像処理で検査することを全自動で行う自動筆記選別機。生産能力が毎分180個と高い能力を持つフェルトペンN50の製造ライン。そして1980年、他に類を見ない機械を開発することに成功しました。


PUHAの誕生

シャープペンシルの戻り止め
シャープペンシルの戻り止め

シャープペンシルの中に「戻り止め」という部品が入っているのをご存知ですか?繰り出された芯をその位置で止める機構がシャープペンシルの先端にあるのです。

1981年にゴムの成形品で1枚のシートに数百個ある「戻り止め」を一個一個切り出してペン先に挿入する装置「シャープペンシル組立機」に、新たに開発した「SCARA型ロボット“PUHA”」を搭載し稼働を始めました。機設事業部が水平多関節ロボットを世界で初めて実用化に成功した瞬間でした。

2年間の開発期間をかけて完成した、PUHAとシャープペンシル組立機は、それまで30人が手作業で行っていた工程を完全に自動化することに成功しました。この世界に先駆けて精密組立ロボットのオンライン化に成功した事例は、新聞記事にも取り上げられて問い合わせが殺到するなど大きな反響を呼び、翌1982年にぺんてる機設事業部にロボットの外販を決意させるまでに至ったのです。



開発した初代PUHA
開発した初代PUHA

PUHAを搭載したシャープペンシルの組立機

PUHAを搭載したシャープペンシルの組立機

金型技術

ぺんてるでは自動化の機械のみならず、当然文具の樹脂成形金型の設計製作にも挑戦しておりました。シャープペンシルの芯を送る機構である「樹脂製チャック」、水性ペンの「樹脂製ジャバラ」、「透明キャップ」では文具業界で初めてPET樹脂で成形したのです。金型でも数多くの技術を獲得し、特長のある金型を製作して来ました。

ぺんてる製ハイブリッドボールペン
「パチン」と音がしてはまる透明なキャップ
のついたボールペン。
(ぺんてる製ハイブリッドボールペン)

さて、筆記具の成形品にはどの程度の精度が要求されているかご存知でしょうか?
例えば「パチン」と音がしてはまる透明なキャップのついたボールペン(写真)。一見何の変哲もないキャップですが、実は高度な技術が必要なのです。前後にガタつくことなくキャップが嵌まり(はまり)、ほど良い着脱の感触を維持し、キャップが嵌まった状態では外部との空気の流通を遮断する機能を併せ持っている必要があります。これらを成立するには成形品にミクロンオーダーが要求されます。この品質で月に何百万個もの成形品を生産するのは厳しい管理が必要となります。普段、皆様が何気なく使用していただいている筆記具の中にも私達の技術がつまっています。

機設事業部誕生からの発展

インサート成形のロボット無人化システム

インサート成形の
ロボット無人化システム
イメージ

「PUHA」の外販を期にぺんてる機設事業部は体制を強化し、外販を担当する部署を設置致しました。PUHAのロボット技術と、これまで長い間積上げてきた自動化技術、金型技術、成形技術の総合力によって花開いたのが、インサート成形のロボット無人化システムである「インサート成形システム」です。インサート成形システムでは多くのお客様にも協力していただき24時間無停止の機械を目指してきました。24時間無停止を達成するために信頼性の高い機械を作るノウハウをここから学ぶことができました。

その後も、私達は常に挑戦し続け、ロボット・金型技術のみならず、部品の微小な欠陥を検査する「画像処理技術」、膨大な経験データから得られた「充填技術」等の文具製造に必要な技術を開発するに至りました。より幅を持たせた関連技術は多くのお客様に納得頂ける提案が出来るようになり、自動車の電装部品関係、通信機器関連、医療器部品関連などの多くの分野で機械・金型を販売させていただいております。

ぺんてるの総合力を皆様に

このように、ぺんてる機設事業部は文房具の生産ラインからスタートし、多岐に渡る技術の獲得をし続け、皆様に認めて頂ける機械・金型メーカーになれたと自負しております。最近では、機械・金型のみならず、文房具で培ってきたぺんてるの総合力でお客様にご協力することもできるようになってきました。機械と一緒に、お客様の製品を構成する部品として樹脂成形部品を供給することや、お客様の製品設計にまで関わらせていただくことも多くなってきました。これからも、ぺんてるの総合力に期待下さい。

ぺんてる株式会社機設事業部を何卒よろしくお願いします。